コラム

コラム#44:医療・ヘルスケアPoCが製品化できない理由とは?止まる原因と現場での進め方

はじめに
医療・ヘルスケア分野では、※PoCまでは進むものの、その後の製品化に至らないケースが少なくありません。
実際に弊社でも、「技術検証まではできたが、その先に進まない」「研究段階では有望だったが、事業化の判断ができない」といったご相談をいただくことが増えています。
PoC(Proof of Concept)とは?新しいアイデアや技術の実現可能性を、試作や検証を通じて確認する工程を指します。

本コラムでは、現場で多く見られる課題と、現在弊社で取り組んでいる進め方を整理します。
※すべてのプロジェクトで完全に実行できているわけではありませんが、PoC止まりを防ぐための考え方としてご参考ください。

1.  PoCが止まる理由【現場で多い課題】

① 技術検証で止まり、「製品としての設計」がない

PoCでは技術的な成立が重視される一方で、製品としての使い方やユーザー体験が後回しになることがあります。

その結果、

・実際の使用シーンが想定されていない

・操作性や安全性の検討が不足している

・デザインや筐体設計が後工程になる

といった状態になり、製品化への移行が難しくなります。

② 関係者間でゴールが揃わず、「次に何をすべきか」が決まらない

PoC段階では、研究・開発側、事業側、現場ユーザーなど、立場ごとに見ているゴールが違うことがよくあります。
その結果、
・技術は成立しているが使われない
・想定用途が曖昧なまま進む
・判断基準が不明確
という状態になりやすくなります。

また、PoC後に必要となる
・試作の精度を上げるのか
・UI/UXを検証するのか
・製造前提の設計に入るのか
といった意思決定が整理されていないケースが多くあります。


次の一手が整理されていないと、PoC終了後にそのままプロジェクトが停滞しやすくなります。

③ 実装や運用を見据えた現実的な検討が不足している

理論やアルゴリズムが成立していても、それだけで製品になるわけではありません。
医療・ヘルスケア分野では、実装性や運用性、さらには安全面や規制面も含めて検討する必要があります。

たとえば、
・装着しにくい
・重くて使いづらい
・現場の運用フローに合わない
・量産や実用化を前提とした仕様になっていない

といった課題が残っていると、PoCの先に進めなくなります。

2. 医療・ヘルスケアPoCを製品化につなげる進め方-成功に導く4ステップ

弊社では、PoC段階から次のような進め方を意識しています。

① 初期段階から「使われ方」を前提にする

製品化には必要な場面を想定したり、利用者の視点が必要です。
後から「現場で使えない」と判明するリスクを減らせます。

具体的には、
・「実際にどんな場面で使うのか」
・「誰が使うのか」「どう操作するのか」
・「安全に運用できるのか」

という内容が多いです。

② デザインと設計を早い段階で入れる

理論やアルゴリズムが成立していても、使用者のニーズが反映されていない扱いにくいものでは製品になりません。
だからこそ、設計とデザインは後工程ではなく前工程に入れるべきです。

PoC後にまとめて外観や筐体を考えるのではなく、初期から
・外観イメージ
・操作性
・筐体構造
・重量や装着性
などを並行して検討します。

③ プロトタイプを使って検証する

医療現場では、見た目や使い勝手も判断材料になります。
実際に触れられる、見られる状態にすることで、合意形成が進みやすくなります。

図面や仕様書だけでなく
・3Dモデル
・簡易試作
・CG・VR
などを活用しながら、関係者間で完成イメージを共有します。

④ 「次のステップ」を常に設計する

PoCの目的を明確にし、次の判断軸まで決めておけば、プロジェクトは前に進みやすくなります。
重要なのは、
・どこまで検証できれば次に進めるか
・次は何を評価するか
・どの時点で事業判断を行うか
を事前に整理しておくことです。

3. Q&A|医療・ヘルスケアPoCに関するよくある質問

Q. PoCってなぜ止まるのですか?

A. 技術検証で完結してしまい、製品としての設計、使い方の整理、次の判断基準が不足するためです。医療・ヘルスケア領域では、加えてエビデンスや規制対応の壁も大きく影響します。

Q. PoCから製品化するには何が必要ですか?

A. 技術だけでなく、デザイン、設計、使用シーン、安全性、実装性を含めた全体設計が必要です。誰がどう使うかまで含めて考えることが重要です。

Q. プロトタイプの見た目や使い勝手も重視したいのですが?

A. 重要です。弊社では3Dプリンタを用いた試作だけでなく、UI/UXデザインやCG・VRによる可視化も行っています。関係者の認識を揃え、現場での使いやすさを早期に検証しやすくなります。

Q. プロトタイプはどこまで作るべきですか?

A. 目的によりますが、少なくとも関係者が同じ判断をできるレベルまで可視化することが重要です。
高精度な完成品でなくても、3Dモデルや簡易試作、CG・VRなどを活用し、実際の使用イメージを共有できるレベルが目安になります。

Q. どの段階から相談すればいいですか?

A. PoC前後の段階からご相談いただくケースが多いです。特に、技術はあるが製品化の進め方が見えていない段階であれば、早めに方向性を整理した方が無駄な手戻りを防げます。

Q. 予算に合わせた進め方はは可能ですか?

A. 可能です。まずは機能を絞った検証からスタートし、段階的に開発を進める方法もあります。
プロジェクトの状況に応じて、無理のない進め方をご提案します。

ご相談について

PoC段階での整理や、製品化に向けた進め方について、具体的な内容が固まっていない状態でも問題ありません。
この段階で相談していいのか」といった内容でも、お気軽にご相談いただければと思います。

📩 お問い合わせはこちら

関連リンク

🌐原理試作・PoC受託サービス

🌐モノづくりまでのご依頼

🌐プロダクトデザインページ

🌐クロスデザイン公式サイト