ハードウェア系スタートアップが量産化を成功させるには、試作段階から量産性・コスト・製造方法を意識して設計し、早期に製造パートナーと連携することが重要です。
試作と量産の違いや、量産化でつまずきやすいポイント、設計から製造へスムーズにつなげるための考え方を解説します。これらを徹底することで、スタートアップはスムーズに量産へ進み、市場投入のスピードを加速できます。
1. 試作と量産では、求められる設計が大きく異なる
試作では「形や機能を確認できること」が重要ですが、量産では品質・コスト・再現性まで考えた設計が必要になります。
製品開発では、まず3Dプリンタや切削加工などを利用してプロトタイプを製作し、形状や操作性、機能などを確認することがあります。試作品が完成したからといって、そのまま同じ方法で量産できるとは限りません。
試作
・スピードや柔軟性を重視する
・3Dプリンタや切削加工などを活用する
・形状やサイズ、使いやすさを確認する
・機能や構造に問題がないか検証する
量産
・品質の安定性や再現性を重視する
・金型や量産加工方法を前提に設計する
・部品調達や組立工程まで考慮する
・製造コストや作業時間を抑える必要がある
見た目が同じ製品であっても、「試作できる設計」と「量産できる設計」は別物です。量産段階になって初めて設計を見直すと、大幅な設計変更や追加費用が発生する可能性があります。
そのため、プロトタイプを製作する段階から「最終的にどのような方法で量産するのか」を考えておくことが重要です。
2. スタートアップが量産化でつまずきやすい3つのポイント
量産化では「コスト」「量産性」「製造パートナー」の3つが大きな課題になりやすく、試作段階から確認しておく必要があります。
① コスト感覚のずれ
試作では1台、数台単位で製作するため、多少加工費が高くても成立することがあります。
しかし100台、1,000台と生産数が増えると、1個あたり数百円の違いでも全体のコストには大きな差が生まれます。
例えば、
・特殊な加工を多用している
・専用部品が多い
・購入先が限られる部品を使用している
・組立作業に時間がかかる
といった設計では、量産時のコストが想定以上に膨らむことがあります。
② 量産性を考慮していない設計
試作品では問題なく製作できても、量産工法に変更すると製造できない形状もあります。
例えば樹脂部品を射出成形する場合には、
・抜き勾配
・肉厚
・アンダーカット
・パーティングライン
・金型構造
などを考慮する必要があります。
また、部品点数が多い設計では組立工程が増え、人件費や製造時間、不良発生リスクにも影響します。そのため、製品デザインと同時に「どう作るか」を検討することが重要です。
③ 製造パートナー選び
製造会社を選ぶ際、価格だけで判断するのも注意が必要です。
見積金額が安くても、
・品質管理体制
・設計変更への対応力
・試作から量産までの対応範囲
・コミュニケーションのスピード
・小ロットへの対応力
などが合わなければ、量産開始後のトラブルにつながる可能性があります。
特にスタートアップでは、開発途中で仕様変更が発生することもあるため、開発スピードや柔軟な対応力もパートナー選定の重要なポイントです。
3. 製造パートナーには構想・試作段階から相談する
製品が完成してから製造会社を探すのではなく、早い段階から相談することで量産時の手戻りを減らせます。
量産化をスムーズに進めるためには、製造パートナーを「製品が完成した後の発注先」と考えないことが重要です。
できるだけ早い段階から相談し、
・この形状は量産できるか
・どの製造方法が適しているか
・コストを下げられる部分はないか
・部品点数を減らせないか
・組立方法を簡略化できないか
などの意見をもらいます。
製造側の知見を設計へ反映することで、後工程で大幅な形状変更が発生するリスクを抑えることができます。
量産性を考慮した設計、いわゆる**DfM(Design for Manufacturing/製造性を考慮した設計)**の考え方を早期から取り入れることがポイントです。
4. 仕様書や3Dデータを整理し、設計と製造をつなぐ
量産化では「どのような製品を作りたいか」を仕様書・図面・3Dデータなどで明確に共有することが重要です。
「こんなイメージの製品を作りたい」という段階では、正確な量産見積や製造方法の判断が難しい場合があります。
製品開発を進めながら、
・製品サイズ
・使用環境
・必要な強度
・材質
・表面処理
・生産予定数量
・組立方法
・目標コスト
などを整理していくことで、製造パートナーとの認識のずれを減らすことができます。
また、3Dデータや製造図面まで整備されていれば、より具体的な製造検討や見積にもつなげやすくなります。
ただし、スタートアップでは社内に製品設計や量産設計を担当する人材がいないケースもあります。
その場合は、製品デザイン・設計と製造の双方を理解する外部パートナーを活用する方法も有効です。
5. 試作と量産の「橋渡し」が製品開発をスムーズにする
デザイン、設計、試作、製造を別々に考えるのではなく、量産までつながる一連の開発工程として進めることが重要です。
製品開発では、
アイデア
↓
製品デザイン
↓
3Dデータ作成
↓
設計
↓
試作
↓
評価・改良
↓
量産検討
という複数の工程があります。
それぞれを異なる会社へ依頼すると、工程間で情報が途切れたり、設計意図が正しく伝わらなかったりすることがあります。
そこで重要になるのが、試作と量産を橋渡しできる存在です。クロスデザインでは、製品開発の初期段階からデザイン・設計・試作までをつなぎ、量産を見据えた製品開発を支援しています。
●試作段階
製品の外観や操作性、サイズ感などを確認するためのモックアップや試作品を製作します。
●量産を意識した設計
金型や板金加工、組立工程などを考慮しながら、筐体構造や部品構成を検討します。
●製造パートナーとの連携
製造方法や数量、仕様に応じて製造パートナーと連携し、量産移行に向けた検討を進めます。
スタートアップの「作りたい」というアイデアを、実際に「作れる製品」へつなげていくことが重要です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 試作品が完成してから量産設計を始めても問題ありませんか?
量産化できる場合もありますが、大幅な設計変更が必要になる可能性があります。
試作段階から金型や加工方法、部品構成などを意識して設計しておくことで、量産時の手戻りを減らしやすくなります。
Q2. 試作と量産では何が一番違いますか?
試作では形状や機能の確認が中心ですが、量産では品質の再現性、製造コスト、組立工程、部品調達などまで考慮する必要があります。同じ形状でも、適した設計や製造方法は異なります。
Q3. 製造パートナーにはいつ相談するのがよいですか?
できるだけ構想・試作段階から相談することをおすすめします。
早期に製造側の意見を取り入れることで、量産できない形状やコスト増につながる設計を事前に見直すことができます。
Q4. まだ仕様書や製造図面がなくても相談できますか?
構想や3Dイメージなどの段階から整理を進めることは可能です。使用環境、サイズ、生産数量、想定コストなどの条件を整理しながら、設計や試作へつなげていきます。
Q5. クロスデザインでは量産そのものまで対応できますか?
クロスデザインでは、製品デザイン・設計・試作に加え、量産を見据えた設計や製造パートナーとの連携など、量産移行に向けた支援を行っています。
製品や数量、製造方法によって対応内容が異なるため、開発段階からの相談が有効です。
クロスデザインでは、アイデアや構想段階から製品デザイン、設計、試作、量産移行に向けた検討まで、製品開発を一貫してサポートしています。
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