コラム

コラム#21:新規設計と類似設計を使い分ける!効率的な製品開発のアプローチ

構造設計は製品の強度や剛性を、機構設計は動作の仕組みを考える設計領域です。筐体設計では、内部部品を保護しながら、使いやすさや外観、製造しやすさを整えます。
本記事では、それぞれの役割と筐体設計のポイント、クロスデザインが行うデザイン・設計・試作の支援について紹介します。

機械設計における「構造設計」と「機構設計」

機械設計は、大きく「構造設計」と「機構設計」の2つに分類されます。それぞれの役割や目的が異なり、設計の進め方にも違いがあります。
本コラムでは、機械設計の全体像を整理しながら、特に「筐体設計」に焦点を当てて詳しく解説します。

ここでは役割の違いを理解しやすいように、この2つの視点で整理しています。
実際の製品開発では、熱設計などの領域も関わり、構造設計・機構設計・筐体設計を連携させて検討します。

1. 新規設計とは?

新規設計とは、ゼロから設計を行い、新しい製品や部品を開発する手法です。市場のニーズや技術の進化に対応し、新しい価値を生み出すために重要なプロセスです。

メリット
・自由度が高い:既存設計に縛られず、最適な設計を追求できる。
・競争力のある製品開発:独自の技術や機能を盛り込むことで、競争力のある製品が生まれる。
・最新技術の適用:最新の材料や製造技術を活用できる。

デメリット
・開発コストが高い:一から設計するため、試作・評価・改良にコストと時間がかかる。
・リスクが高い:未知の技術や構造を採用するため、設計ミスや市場での受容リスクがある。

2. 類似設計(流用設計)とは?

類似設計とは、過去の設計データや既存製品を基に、新しい製品を開発する手法です。多くの企業では、設計の効率化やコスト削減のためにこのアプローチが活用されています。

メリット
・開発スピードが向上:設計データや実績のある部品を再利用できるため、開発期間が短縮される。
・コスト削減:設計・試作・検証の工程が省略できるため、コストを抑えられる。
・品質の安定:既存の設計を基にするため、設計ミスが少なく、品質が安定しやすい。

デメリット
・設計の制約:既存の設計に依存するため、最適解を追求しにくい。
・競争力の低下:他社との差別化が難しく、新規市場の開拓には不向き。
・技術革新の遅れ:既存技術に頼ることで、新しい技術の導入が遅れるリスクがある。

3. どちらを選ぶべきか?

新規設計と類似設計の選択は、製品の特性や開発の目的によって変わります。それぞれの状況に応じた判断基準を紹介します。

新規設計が適するケース

・独自性の追求:競争力のある新しい製品を市場に投入したい場合は、新規設計が有効です。
特に、他社との差別化が求められる製品や、画期的な機能を持つ製品を目指すなら、新規設計の選択が重要になります。

・技術革新の導入:最新技術を活用し、より高性能な製品や次世代技術の実用化を目指す場合にも、新規設計が最適です。

・市場の先行優位性:新しい市場やニッチな分野を開拓する際には、他社が追随できない革新的な設計が求められます。

類似設計が適するケース

・短期間での製品化:スピードが重要なプロジェクトや、競合他社に迅速に対応する必要がある場合は、類似設計が効果的です。過去の設計や部品の再利用により、開発期間を大幅に短縮できます。

・コストの最適化:新たな設計にかかる時間や費用を抑え、効率的に開発を進める必要がある場合は、類似設計が望ましいでしょう。特に、コスト競争が激しい市場では、流用設計の活用が重要です。

・安定した品質の確保:過去の実績がある設計をベースにすることで、品質や性能の安定を見込めるため、信頼性が求められる製品にも適しています。

選択のポイント

「市場での競争力を重視するか」、「開発期間やコストを重視するか」によって、最適な設計手法は異なります。
最終的には、製品の特性やビジネス戦略に合わせた柔軟な選択が重要です。場合によっては、新規設計と類似設計を組み合わせたハイブリッド設計が最適解となることもあります。

4. ハイブリッド設計の活用

完全な新規設計か、完全な類似設計かの二者択一ではなく、両者を組み合わせた『ハイブリッド設計』も有効です。

・基幹部品は流用し、外観や機能を新規設計する
・コア技術は新規開発し、周辺部品は既存部品を活用する
・過去の設計を参考にしつつ、部分的に改良を加える

このようなアプローチを取ることで、新規性と効率のバランスを取ることができます。

新規設計と類似設計は、それぞれ異なる特性を持ち、適切に使い分けることで開発の最適化を図ることができます。
企業の競争力を高めるためには、どちらか一方に固執するのではなく、目的に応じた最適な手法を選択することが重要です。

設計戦略を考える際には、「どの部分を新規開発すべきか」「どこを流用すべきか」を慎重に判断し、効率的かつ競争力のある製品開発を目指しましょう。

 クロスデザインの筐体設計支援

クロスデザインでは、機械設計の中でも、特に樹脂筐体設計を得意としています。プロダクトデザインと筐体設計を連携させ、外観のイメージを、内部部品が収まり、組み立てられる製品へ具体化します。
設計では、支給いただく内蔵部品や外観データをもとに、内部レイアウト、部品の固定方法、肉厚、ボス・リブ、部品の分割などを検討します。射出成形による量産を見据え、金型や製造方法を考慮した設計にも対応しています。

また、3D CAD上では確認しにくい組付け具合や部品同士の干渉は、3Dプリンターや真空注型を活用した試作で確認します。
設計段階で実物を見ながら検討することで、課題を早期に見つけ、設計へ反映しやすくなります。

「内蔵部品に合わせてケースを設計したい」「外観デザインと筐体設計をまとめて依頼したい」「試作品を量産につなげたい」など、開発の進み具合や課題に応じてご相談いただけます。

クロスデザインの樹脂筐体設計サービスを見る

FAQ|構造設計・機構設計・筐体設計についてよくある質問

 Q1. 構造設計と機構設計の違いは何ですか?
A. 構造設計は、製品を支える部品の強度や剛性、耐久性などを検討する設計です。
機構設計は、モータやギヤ、リンクなどを使い、必要な動きを実現する設計です。例えば、開閉するカバーでは、カバー自体の強度と、ヒンジなどの動作の仕組みを合わせて検討します。

Q2. 筐体設計と外観デザインは何が違いますか?

A. 外観デザインでは、製品の見た目や使いやすさ、ブランドの印象などを検討します。筐体設計では、その外観をもとに、内部部品の配置や固定、肉厚、部品の分割、組立方法などを具体化します。両者を連携させることで、デザイン性と製造しやすさを両立した製品へつなげます。

 Q3. 筐体設計は、製品開発のどの段階から検討すべきですか?

A. 外観や内部部品の仕様を確定する前から、並行して検討することが望ましいです。内部部品が収まるか、組立や放熱に必要なスペースがあるかを早期に確認すると、後から外観や寸法を大きく変更する手戻りを抑えやすくなります。

Q4. クロスデザインには、筐体設計だけでも依頼できますか?

A. はい。支給いただく外観データや内蔵部品に合わせた筐体設計をご相談いただけます。プロダクトデザインからのご依頼や、既存製品をもとにした改良にも対応しています。必要なデータや設計範囲は、ご相談時に確認します。

 Q5. 試作や量産を見据えた設計も相談できますか?

A. はい。3Dプリンターや真空注型を活用した試作・確認に加え、射出成形の金型や量産性を考慮した筐体設計をご相談いただけます。試作と量産では材料や製造方法が異なる場合があるため、生産数量や製造条件を踏まえて、必要な設計調整を検討します。

 Q6. 図面や仕様が固まっていない段階でも相談できますか?

A. はい。構想段階や、最小限の要件からのご相談にも対応しています。製品の用途、使用環境、内蔵部品、ご希望のサイズや外観など、現時点で分かる内容をお知らせください。開発の進み具合に応じて、デザイン・筐体設計・試作の進め方をご提案します。

筐体設計でお困りの方、また筐体設計をご検討の方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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