【住宅設備・水回り設備】シャワーヘッド

【住宅設備・水回り設備】シャワーヘッド

㈱栗本鐵工所

依頼の背景

栗本鐵工所様より、洗浄分野におけるキャビテーション技術の効果を可視化することを目的として、展示会向けシャワーヘッド試作のご依頼をいただいた。
本案件は、2025年12月3日開催の「2025 洗浄総合展(東京ビッグサイト)」での展示を前提としており、標準シャワーヘッドと開発中ノズルを比較できる見せるための試作モデルが必要とされた。

展示では、水槽とスタンドを用い、シャワーヘッドから水槽内に水を噴出させることで、キャビテーションによる微細気泡の発生を視覚化可能な構成となっている。
キャビテーションは本来、配管破損の原因となる現象である一方、近年は洗浄・加工分野でその作用が積極的に応用されており、展示ではこの“技術の有用性”をわかりやすく伝えることが求められた。

加えて、本展示は栗本鐵工所様の黒基調ブースで実施されるため、耐熱性・耐圧性といった機能要件に加えて、展示空間で存在感を放つ外観デザイン性も必須条件となった。単なる試験用モデルではなく、ブランドイメージに調和しつつ、来場者の視線を捉えるデザイン性を備えた“見せるモデル”として仕上げることが重要であった。

今回も多数の来訪が予想されており、技術内容を直感的に理解してもらうための機能 × デザインの両立が本案件の大きなテーマとなった。

デザインのポイント

デザインは2案提案した結果、客先のご要望により2案とも製作に至った。

● デザイン案 1:SQUARE EDGE(スクエアエッジ)
フラットで張りのある面構成を基調に、シャープなエッジを的確に配置したデザイン。
硬質な印象を持ちながらも過度に重たくならず、“精密感のある存在感”を生み出している。
エッジラインは光を受けた瞬間に輪郭が浮かび上がり、展示空間の中でシャープさが際立つ。
また、面の切り替えが視線を自然に誘導し、高精度な技術力を想起させる構成となっている。
青・赤のコーポレートカラーをアクセントとして織り交ぜることで、知的で力強いブランドイメージを強調した。

●デザイン案 2:ROUND SLEEK(ラウンドスリーク)
柔らかなラウンドフォルムを主体に、要所へ緊張感のあるラインを走らせることで、
“やさしさ × 精密さ”を兼ね備えた未来的なプロダクトを表現。
滑らかな面は光を柔らかく受け止め、水や空気の流れを思わせる流動的な印象をつくり出す。
背面のエッジラインが全体にほどよい緊張感を与え、ブランドカラーを沿わせることで躍動感を強めている。
曲面形状は見る距離や角度に応じて表情を変え、展示空間で立体的な存在感を発揮する。

製作時のポイント

本モデルは展示用途でありながら、実際に水を噴出させてキャビテーションを可視化する必要があったため、50℃前後の温水・数十kg級の加圧環境に耐えうる耐熱・耐水性を確保した樹脂選定が必須条件となった。製作方法については、コストと納期のバランスを踏まえ、光造形を基本工法とした。キャビテーション発生可否に直結するため高精度が必須の部品で再現性が求められる箇所には、微細形状再現に特化した3Dプリンター方式を併用する構成とした。
形状再現性に関しては、栗本鐵工所様にて試験装置への組み込みおよび動作試験を実施し、問題がないことを確認したうえで製作工程へと移行。試験に使用したモデルを回収し、展示会用に加飾処理を施すことで再作コストを抑制できた点も、顧客メリットとして高く評価された。
外観については、展示品質として求められる光沢仕上げを採用し、塗装にはコーポレートカラーであるブルーとレッドの2色を使用。調色から最終仕上げまで丁寧に対応し、黒を基調としたブース内でも鮮やかに映えるデザインに仕上げた。

クライアントより、展示会場で来場者から高い評価を獲得したとのご連絡をいただき、キャビテーション技術の訴求に大きく貢献した実績となった。



・依頼内容
【工法】デザイン・展示品製作(光造形、外観仕上げ、塗装(調色含む))
【材質】ABSライクなど
【リードタイム】トータル約1ヶ月

㈱栗本鐵工所様WEBページ