ローム株式会社様より、屋外環境で使用する実証実験用筐体のデザイン・筐体設計・試作製作をご依頼いただきました。
初回ヒアリングにて外装デザインの方向性から構造要件・防水仕様・内部部品のレイアウト条件まで細かく整理し、実験用途でありながらメディア掲載に耐えうる外観品質を実現する方針で合意しました。
クロスデザインでは、本プロジェクトにおける開発試作の外装カバーのデザイン・設計・試作品製作を担当させていただきました。
ローム株式会社様が開発する自律走行ロボット「NoMaDbot™」は、地図も事前設定も不要で走行できる“脱SLAM”技術を搭載した次世代AMRです。
環境変化の大きい工場や物流現場でも、複雑なレイアウト構築なしにすぐに導入できる手軽さが特長。
様々なセンサを組み合わせた独自アルゴリズムにより、高精度な自己位置推定と安定した自律移動を実現。
既存のSLAM方式では課題とされていた導入コストや環境依存性・技術者不足を解消し、自律走行技術の社会実装を目指されています。
この革新的なロボット駆動技術により、CEATEC 2025「事業創出ピッチ」において 01Booster Capital主催プログラム「SPINX」内で DEEPTECH賞を受賞されました。
※来場者のオンライン投票で、ネクストジェネレーションパークのテーマである「次世代のイノベーションエコシステム」に最も近い事業として最多投票を得て選定。
筐体は樹脂(シリコン型成形)を採用し、屋外使用を前提に防水性能を重視。センサ・基板・コネクタなど複数の機能部品を内蔵するため、内部クリアランスや壁厚、固定方式(非貫通ネジ、フランジ構造)を細かく検討しました。特に、下部のパッキン構造やコネクタ周辺の壁厚設計は、防水性能と製造性のバランスを取る上で重要な要素となりました。
デザイン面では、「PR用途でも見劣りしない外観」をテーマに、工業デザインテイストを基調としながらも、丸みと一体感のある造形で“試作感”を排除。上下接合部のラインを目立たせない一体処理、2部品を一体化した意匠構造など、外観の完成度を高める工夫を随所に盛り込んでいます。ブランドカラーに合わせた紫系2色によるツートン仕上げも検討し、視認性とプロダクトらしさを両立しました。
搭載部品は現物支給品と3Dデータが混在していたため、部品採寸や現物ベースでの設計を行いながら、内部構造を最適化いたしました。
・依頼内容
【工法】デザイン、外装カバー設計、試作品製作(光造形、真空注型)
【材質】ABSライクなど
【リードタイム】トータル約2ヶ月
・製品情報
脱SLAM 地図を使わない自律走行技術「NoMaDbot™(ノマドボット)」