コラム

コラム#38_量産を見据えた産業機械デザイン ― 設計・演出・展示の融合

産業機械のデザインは、もはや「外観を整える工程」ではありません。
量産性・操作性・保守性、そして展示や営業の現場で“伝わること”まで含めて設計することが、製品価値を左右する時代です。

本コラムでは、産業機械の筐体デザインを、量産設計・操作性・展示演出まで一貫して考えるアプローチを解説します。
製造現場と広報・営業をつなぐ、新しいデザイン手法の実践例です。

なぜ今「設計・演出・展示の融合」が必要なのか

多くの開発現場では、次のような分断が起きがちです。

・設計:機能・強度・コストは成立している

・デザイン:見た目は整っている

・営業・展示:製品の強みが伝わらない

この結果、「良い製品なのに、伝わらない」「説明が必要すぎる」という状態に陥ります。

原因は明確で、設計と“伝え方”が別物として進んでいるからです。

産業機械デザインを「量産前提」で考えるということ

量産を見据えた筐体デザインでは、初期段階から以下を同時に考えます。

・成形方法(樹脂・板金・切削)

・金型制約・抜き勾配・肉厚

・組立性・メンテナンス性

・将来の仕様変更・派生展開

見た目を後付けすると、量産直前での大幅修正・コスト増が避けられません。最初から「量産される前提」で形をつくることが、結果的に開発スピードと品質の両立につながります。

操作性・現場視点を組み込む筐体設計

産業機械のデザインで見落とされがちなのが、実際に触る人の視点です。

・操作パネルの角度・視認性

・手袋着用時のスイッチ配置

・清掃・点検時のアクセス性

・現場導線との干渉

これらは図面上では成立していても、実機になると不満が出やすいポイントです。

筐体デザインの段階で操作シーンを想定することで、「使いにくいが我慢して使われる機械」から「現場で評価される機械」に変わります。

展示・営業で“一瞬で伝わる”設計とは

展示会や営業現場では、説明できる時間は数秒〜数分しかありません。

そのため重要なのは、

・機能が形で伝わること

・技術のポイントが視覚化されていること

・競合との差が一目で分かること

筐体デザインと同時に、

・CG・カットモデル・試作

・展示用の見せ方

・パネル・映像との連動

まで設計することで、「説明しなくても伝わる」状態をつくることができます。

製造現場と広報をつなぐデザインという考え方

産業機械デザインの本質は、製造現場と市場をつなぐ“翻訳”にあります。

・技術者が考えた価値を

・営業・顧客が理解できる形に落とす

これを後工程で行うのではなく、設計・デザイン段階から組み込むことが重要です。

結果として、

・展示会での説明負荷が下がる

・営業資料・WEBコンテンツに転用しやすい

・製品ブランディングが一貫する

という効果が生まれます。

まとめ|産業機械デザインは「伝える設計」へ

これからの産業機械デザインに求められるのは、

・量産を見据えた設計力

・現場で使われる操作性

・展示・営業まで含めた演出設計

この3つを分けずに考えることです。

筐体デザインは、製品価値を市場に届けるための戦略設計です。

設計・試作・展示を横断する視点を持つことで、産業機械は「性能が高いだけの製品」から「選ばれる製品」へと進化します。

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