産業機械のデザインは、もはや「外観を整える工程」ではありません。
量産性・操作性・保守性、そして展示や営業の現場で“伝わること”まで含めて設計することが、製品価値を左右する時代です。
本コラムでは、産業機械の筐体デザインを、量産設計・操作性・展示演出まで一貫して考えるアプローチを解説します。
製造現場と広報・営業をつなぐ、新しいデザイン手法の実践例です。
なぜ今「設計・演出・展示の融合」が必要なのか
多くの開発現場では、次のような分断が起きがちです。
・設計:機能・強度・コストは成立している
・デザイン:見た目は整っている
・営業・展示:製品の強みが伝わらない
この結果、「良い製品なのに、伝わらない」「説明が必要すぎる」という状態に陥ります。
原因は明確で、設計と“伝え方”が別物として進んでいるからです。
産業機械デザインを「量産前提」で考えるということ
量産を見据えた筐体デザインでは、初期段階から以下を同時に考えます。
・成形方法(樹脂・板金・切削)
・金型制約・抜き勾配・肉厚
・組立性・メンテナンス性
・将来の仕様変更・派生展開
見た目を後付けすると、量産直前での大幅修正・コスト増が避けられません。最初から「量産される前提」で形をつくることが、結果的に開発スピードと品質の両立につながります。
操作性・現場視点を組み込む筐体設計
産業機械のデザインで見落とされがちなのが、実際に触る人の視点です。
・操作パネルの角度・視認性
・手袋着用時のスイッチ配置
・清掃・点検時のアクセス性
・現場導線との干渉
これらは図面上では成立していても、実機になると不満が出やすいポイントです。
筐体デザインの段階で操作シーンを想定することで、「使いにくいが我慢して使われる機械」から「現場で評価される機械」に変わります。
展示・営業で“一瞬で伝わる”設計とは
展示会や営業現場では、説明できる時間は数秒〜数分しかありません。
そのため重要なのは、
・機能が形で伝わること
・技術のポイントが視覚化されていること
・競合との差が一目で分かること
筐体デザインと同時に、
・CG・カットモデル・試作
・展示用の見せ方
・パネル・映像との連動
まで設計することで、「説明しなくても伝わる」状態をつくることができます。
製造現場と広報をつなぐデザインという考え方
産業機械デザインの本質は、製造現場と市場をつなぐ“翻訳”にあります。
・技術者が考えた価値を
・営業・顧客が理解できる形に落とす
これを後工程で行うのではなく、設計・デザイン段階から組み込むことが重要です。
結果として、
・展示会での説明負荷が下がる
・営業資料・WEBコンテンツに転用しやすい
・製品ブランディングが一貫する
という効果が生まれます。
まとめ|産業機械デザインは「伝える設計」へ
これからの産業機械デザインに求められるのは、
・量産を見据えた設計力
・現場で使われる操作性
・展示・営業まで含めた演出設計
この3つを分けずに考えることです。
筐体デザインは、製品価値を市場に届けるための戦略設計です。
設計・試作・展示を横断する視点を持つことで、産業機械は「性能が高いだけの製品」から「選ばれる製品」へと進化します。
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