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コラム#22:機械設計を深く理解する。構造設計・機構設計・筐体設計の役割とポイント

機械設計における「構造設計」と「機構設計」

機械設計は、大きく「構造設計」と「機構設計」の2つに分類されます。それぞれの役割や目的が異なり、設計の進め方にも違いがあります。本コラムでは、機械設計の全体像を整理しながら、特に「筐体設計」に焦点を当てて詳しく解説します。

 

1. 構造設計とは?

構造設計とは、主に製品の強度や耐久性、外観を決定する設計領域を指します。動きを伴わない部品や部材の配置、素材の選定、剛性・振動解析などが含まれます。以下のような要素が求められます。

・強度設計:外部からの衝撃や圧力に耐えられる構造を設計する。

・剛性設計:歪みやたわみを最小限に抑えるための構造を考慮する。

・材料選定:金属、樹脂、複合材料などから適切な素材を選ぶ。

・加工性:製造工程で効率よく生産できるように設計する。

・外観デザイン:製品の美しさやブランドイメージを考慮する。

特に産業機器や家電製品などでは、筐体(エンクロージャー)の設計が構造設計の中心的な役割を果たします。

 

2. 機構設計とは?

機構設計は、製品が動作するための仕組みを考える設計分野です。モータ、ギヤ、カム機構などの動きを最適化し、スムーズに動作するように設計します。

・駆動機構の設計:モータやアクチュエータの選定と配置。

・リンク機構の設計:レバーやギヤを用いた動作制御。

・動力伝達設計:ベルト、チェーン、ギヤによるエネルギー伝達。

・摩擦・摩耗対策:可動部の寿命を延ばすための工夫。

・省エネルギー設計:効率的な動作を実現するための機構設計。

これらの設計要素は、ロボットや自動車、家電製品など、動きを伴う製品の開発に不可欠です。

 

3. 筐体設計とは?

筐体設計とは、電子回路や機械部品を収納し、外部環境から保護する構造を設計する分野です。構造設計の一部として扱われることが多く、製品の機能や安全性を大きく左右します。

3.1 筐体設計の目的

・機械・電子部品の保護:外部の衝撃や埃、水分から内部の機器を守る。

・放熱・冷却機構の確保:電子機器の発熱を考慮し、適切な放熱設計を行う。

・操作性の向上:ユーザーインターフェースの最適化。

・デザイン性の確保:ブランドイメージを反映し、魅力的な外観を提供。

・製造コストの最適化:生産しやすく、低コストで作れるようにする。

3.2 筐体設計のポイント

・素材の選定

●樹脂(ABS、PC、PBTなど):軽量で成形しやすい。

●金属(アルミ、ステンレス、マグネシウム):強度と放熱性に優れる。

・設計プロセス

●設計仕様の決定(サイズ、耐久性、使用環境)

●3D CADを用いたモデリング

●試作・評価(強度試験、環境試験など)

●量産設計と製造工程の最適化

・組立性の向上

●ネジやスナップフィットによる組立方法の検討。

●メンテナンスしやすい構造の設計。

 

機械設計は「構造設計」と「機構設計」の2つに分かれ、それぞれ異なる視点で設計が進められます。特に筐体設計は、構造設計の重要な一部であり、製品の性能や耐久性、デザイン性に大きな影響を与えます。適切な素材選定や放熱設計、組立性の向上を考慮することで、より優れた製品を生み出すことができます。

本コラムでは、筐体設計を中心に説明しましたが、機械設計の全体像を理解することで、より効率的な製品開発が可能になります。

筐体設計でお困りの方、また筐体設計をご検討の方は、ぜひ、お気軽にご相談ください。

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