バイオマス材料の進化と真空注型への応用

近年、環境意識の高まりとともに、持続可能な製造プロセスへの関心が急速に広がっています。製造業においても、従来の石油由来材料から脱却し、再生可能な資源を利用したバイオマス材料が注目を集めています。この記事では、当社が採用する「ハイキャストM0130」というバイオマス材料を中心に、その特長と活用事例についてご紹介します。

 

ハイキャストM0130とは?

ハイキャストM0130は、主に真空注型用のウレタンエラストマーとして使用される画期的な材料です。その最大の特徴は、A液に植物由来の原料を80%以上使用している点で、従来の石油由来材料と比較して、製造時のCO₂排出量を大幅に削減できることです。具体的には、ハイキャストM0130を1kg製造する場合、従来の3400NA(石油由来製品)と比べて約1.9kgのCO₂削減効果があります。

 

ハイキャストM0130の主な特長

1.環境配慮
・バイオマス度80%以上のA液を使用し、環境負荷を低減。
・再生可能資源の活用により、化石資源の利用を抑制。

2.高い品質
・石油由来材料と同等のスペックを実現。
・機械的特性(硬度、引張強さ、反発弾性率など)に優れ、多様な用途に対応。

3.柔軟な設計性
・A、B、C液の比率を調整することで、硬度をType A 10から90まで自由に設定可能。
・小ロット製品の製作にも最適。

4.優れた加工性
・低粘度で流動性が高く、成形が容易。
・短納期での試作や製品化が可能。

 

ハイキャストM0130によるCO₂削減効果について

比較の具体例

例えば、あるプロジェクトで10kgのハイキャストM0130を使用した場合、以下のような違いが生じます。

従来の3400NA(石油由来材料)の場合
製造時のCO₂排出量:10kg × 3.4kg = 34kgのCO₂排出。

ハイキャストM0130(バイオマス材料)の場合
製造時のCO₂排出量:10kg × 1.5kg = 15kgのCO₂排出

CO₂削減効果
従来品と比較して:34kg – 15kg = 19kgのCO₂削減

日常生活に置き換えた場合
19kgのCO₂削減がどれくらいの規模なのか、日常生活の例と比較すると次のようになります。

19kgのCO₂排出は…
ガソリン車で約100km走行する際に排出されるCO₂量に相当。
一般的な家庭(4人世帯)で約2日の電気使用に相当。

実際のプロジェクト規模での影響
もしプロジェクト全体で100kgの材料を使用する場合、次のようになります。

従来品:340kgのCO₂排出。
ハイキャストM0130:150kgのCO₂排出。
差分:190kgのCO₂削減。

これは、ガソリン車で約1000km走行する分の排出量を削減できる効果があります。

 

バイオマス材料の利点と今後の展望

バイオマス材料の使用は、単に環境負荷を軽減するだけでなく、製品ブランドの差別化や企業価値の向上にも寄与します。特に、エンドユーザーからのサステナビリティに対する要請が高まる中、製品開発段階から環境配慮を組み込むことは重要な競争力となります。
当社では、ハイキャストM0130を活用した真空注型サービスをさらに拡大し、幅広いニーズに応える体制を構築しています。また、実際にバイオマス材料を使用したサンプルや事例を公開し、具体的な活用イメージをお客様に提供する予定です。

 

環境配慮型製品をお考えの方へ

ハイキャストM0130をはじめとするバイオマス材料は、環境と経済性の両立を目指すものづくりに最適な選択肢です。当社は、次世代の製造プロセスをお客様とともに切り拓いていきたいと考えています。環境配慮型のプロトタイプ開発や真空注型にご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

 

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